2015年12月14日(月)

フランス滞在記Vol.2~メドックマラソン2015参加!(前半)~

 朝5時半です。

メドックマラソン当日を迎えました。
二日酔いは・・・大丈夫みたいです。

集合は6時半。
大急ぎで身支度、用意してきた仮装の衣装に着替えます。

メドックマラソンは普通のマラソンとは大きく勝手が違います。
まず、嘘か本当か仮装が義務付けられています。

仮装のテーマは毎年変わるようで、今年のテーマは「盛装」。
馴染みのない言葉ですが、要は「着飾る」という意味のようです。
僕は今回、日本を代表する盛装を用意してきました。

 

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クールジャパンを代表する盛装です

ちなみに、代表はカッコよく三銃士の衣装でキメてます。
そして、コースの要所要所にワインや食べ物のエイドが設けられています。
沿道のシャトーが提供するらしく、シャトーの敷地の中を通るような場所もあるとのことです。
さらに、最終盤には生牡蠣やステーキが振舞われるうえ、
ゴールしたら記念のワインがもらえるということで、
参加者の多くはそれをモチベーションに走るらしいのです。

と、事前に調べられたのはこれくらいです。
正直マラソンは10年以上前の20代前半で走ったきり2回目。それでも6時間半くらいかかりました。
メドックマラソンの参加資料には、そもそも制限時間が6時間半(朝9時半スタート、午後4時終了)、かつ19キロ地点で最後尾を走る運営よりも遅れた場合も失格と書いてありました。

どうなることやら・・

メドックマラソン2015コース
メドックマラソン2015のコース。ポイヤックを起点とし、各チェックポイントではワインの試飲や各種エイドが提供される

話を戻します。
外はまだ真っ暗。
夜が更けるのも遅い分、朝が白むのも遅いフランス。

てか、、、雨!!寒い!

送迎バスはホテルのすぐ近くにあるエルメスの店の前に停車していました。
乗り場にはすでに大勢の人だかりが。
僕を見て前のアジア人が「ニンジャ」とか言っています。
ニンジャじゃないの!レンジャーなの!

ホテルで受け取ったパスを腕に付け、名前を係りのお姉さんに伝えて、乗車。
やはり世界的なイベントなのか、いろんな国の方がいますね。
台湾、オーストラリア(衣装でなんとなく)他。
中にはオリジナルのTシャツを着たチームも。
バスの中でゼッケンを付け、
一路決戦の地、ポイヤックへ。
雨やまないかな~

道のりは結構長かった。
ポイヤックに付いたらもう8時を過ぎてました。
電車で行くプランにしなくてよかった。
いるわいるわ、仮装の大集団。
バイキングに、近衛兵に、新郎新婦に、よくわからん全身タイツとか(僕もですが)

そんな中、日本人は、、いたいた、家電屋みたいなハッピ、新撰組、浴衣の女子に、ピカチュウw
やっぱりわかりやすく基本和装ですね。

せっかくなので各国の盛装をご紹介します。

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あなた絶対にオーストラリア人でしょ!それつけたまま走るの?!
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そのTシャツは特注品ですか?
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それで走るつもり??
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日本だったら捕まりますよ!

とりあえずお水を買いに駐車場向かいのカルフールへ。
24時間営業です。
水売り場は入り口から反時計回りで一番最後のレジに近い場所・日本のスーパー感覚でいうとパンとかが売ってる辺りにありました。
水だけでこんなに大きな売り場が要るものかね~と感心しつつ、
よく見ると、ぜんぶ6本とか10本のパック売りになっています。
さらによく見ると、勝手にパックを破ってバラしてる形跡が。
なるほど。これアリなんだ。バラでも買えるのか。volvicにしとこ。

レジへ行くと、突然ラガーマンの格好をした大男3人に囲まれ(!)
なにやらまくし立てるように水を指差して話しかけてきます。

たぶん英語だけど、早口で何言ってるかわからん・・
するとレジの女性が水売り場を指差して、大男たちは去っていきました。
どうやら、水売り場の場所を聞いていたようです。

準備も整い、スタート地点へ移動。
!せっかく用意したマラソンコースの資料を持ってくるのを忘れました。
とりあえず人の波に乗って着いていきます。
途中、トイレにすごい行列。
日本人のおじさんに水をせがまれました。(昨日飲みすぎたらしい)

スタート地点へ向かうメインストリートには、すでに大勢の参加者。
脇には屋台が準備され、お祭りらしさを感じずにはいられません。
大方の狙い通り、この格好で歩いてると声をかけられまくります。
4枚くらい記念写真をお願いされました。
左手に、『CHATEAU GRAND-PUY DUCASSE』と書かれたお庭付きの雰囲気のある建物が見えます。
後々調べてみると、『シャトー・グラン・ピュイ・デュカス』という、
由緒正しきメドック格付け5級のシャトーだったのでした。
ボルドーでは唯一、市街地の中にあるシャトーということです。

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スタート地点はまだまだ先。左手奥に見える建物がシャトー・グラン・ピュイ・デュカス。
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三銃士に扮した代表・中本。

スタート地点に着くと、なにやら巨大な球体が。
スタート15分くらい前から、この球体にパフォーマーたちがぶら下がり、
音楽に合わせてサーカスのようなアクロバティックな演舞が行われました。

その時がやってきました。
テープの舞う中、ゲートをくぐり、スタート!

直後にまず驚きました。
いきなり沿道で用を足し始める人たち!(スミマセン)

沿道には地元の方々が大勢詰め掛けて応援してくれます。
僕は子どもに大人気!ジャパニーズレンジャーはここフランスでもヒーローなんですね~。

さて、コースはいきなり上り坂です。長く緩やかな丘陵地帯が遠くまで続きます。
雨はすっかり止み、朝日が濡れた路面を照らしてきらきらと輝き始めました。
気がつけば周りは一面のブドウ畑が広がり、その中を縫うように人の群れが走り抜けてきます。
なんて気持ちのいい光景だろうか!

早速見つけました、シャトーの看板。
スタートのときに見た『グラン・ピュイ・デュカス』の畑です。

続いて五大シャトーの一つ、『シャトー・ムートン・ロートシルト』です!
危ない、見落とすところでした。記念写真!
立ち止まるとかなり邪魔ですが、知ったこっちゃありません!

最初の丘を登りきったところ、1.5km地点くらいに朝食エイドがありました。
ここでは、クロワッサン、パン・オ・ショコラ、ボルドーの伝統菓子カヌレが山盛り振舞われています。
ちょうど朝ごはんも食べていなかったので、とっても美味しくいただきました!

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ムートン・ロートシルトの畑。
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朝食エイドの様子。ボルドーの伝統菓子カヌレをふるまうご婦人

このあたりから道は舗装されていない建物の中を通過、そのまま砂利道を走り抜けます。
雨上がりなので早くも足もとはベチャベチャ・・・水たまりを避けながら集団は進んでいきます。

再び舗装路に戻ると、ここで出ました!最初のワインチェックポイント!
ここはシャトーではなく、地元のケーヴが振舞っているようです。
そこにアリのように群がる人・人・人!!まるでバーゲン会場のごとく
われ先にワインを奪い合います。
やっと飲めました。
ん~。。。美味しいかと言われると味わう余裕もないくらいでした。

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最初の試飲ポイントにて。人・人・人!
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正義の味方はワインが飲みづらい

気を取り直して足を進めていきます。
3km地点くらいでしょうか。ここで出ました!
こちらも五大シャトーの一つ、『シャトー・ラフィット・ロートシルト』の畑です!

実は今回密かに楽しみにしていたことがあったんです。
コースの地図を見て、「あのラフィットがワインの試飲ブースを出してるのではないか」
と噂されているんです!

そんな下心を試すかのように、はるか遠く前方まで人の列が見えます・・・
早くも足がひーひーです。日ごろの運動不足をいまさらながら嘆きます。

突然とんでもない人だかり。
ありました。ラフィットのブース!
ここはジャパニーズレンジャーとしてもみくちゃの中しっかりワインをゲット!
初めてのラフィットの味は・・・おいしい♪
実際はセカンドワイン的なものとは思いますが、それでもさすがの味わいです。

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5大シャトー、ラフィット・ロートシルトの畑。
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ラフィットのブース。芋の子を洗うような争奪戦が繰り広げられる。看板には「GRAND VIN DE LAFITE」の札が。
とはいえ、まだまだマラソンは序盤。ゆっくりしてもいられません。
続いて小高い丘の上に見えてきたのは、知る人ぞ知るメドック2級・シャトー・コス・デストゥルネルのお城。
残念ながら試飲はなし。記念写真だけパシャリ。
お次は同じサンテステフの5級・シャトー・コス・ラボリ。ひとけのない建物の門は固く閉ざされ、
最後のカギがないと開けられなさそうな威厳を放っています。
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シャトー・コス・デストゥルネル。
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シャトー・コス・ラボリの門。

このあたりで僕は代表についていけず、脱落。。
なんとも自分の体力に歯がゆいやら情けないやら。何でこんなに走りにくい格好をしているのか俺は。

シャトー・トロンコワ・ラランド、シャトー・フェラン・セギュールといったサンテステフの中堅シャトーのブースを通過し、
こちらも名のある2級・シャトー・モンローズに到着。ここもすごい人気だ~。
ちょっとさすがにワインを飲むのがキツくなってきました。。
さっきからオレンジばっかり食べてます。

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シャトー・トロンコワ・ラランド。
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エチケットにも描かれるセギュールの建物をバックに。酔ってます。
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シャトー・モンローズで再会しました。

と、ここで代表の中本が待っててくれました。
なんとうれしい!そして申し訳ない!
どうやら中本も体力の限界が近づいてきているようです。
ここからは助け合い、励ましあってゴールを目指します!

・・・しかし、近づいてきているのは体力の限界だけではありませんでした。
それは、「時間の限界」です。
ちょうど、後方からラッパを鳴らしながら派手な荷車がやってきました。
よく見ると、車の後ろに数ヶ国語でメッセージが。
「レースの終わり」
実はこのメドックマラソン、最初に書いたとおり、飲めや食えやのお祭りマラソンと思いきや、
きっちり時間制限があるんです。
6時間半以内にゴールできなければ、強制失格。
この荷車は、「ここから後ろの人は失格になりますよ」というお知らせな訳です。
これはまずい。。ゆっくりしすぎました。
何より、フルマラソンを走ってくると大見栄切ってフランスに来ている身としては、
「失格」の2文字など想定していないのです。どの面下げて帰国するのか。

しかし、まだ15キロ地点という現実を知り、風前の灯にびゅうびゅう風が吹き付けます。



そして19キロ地点、それは突然訪れたのでした。

Vol.3に続く